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印刷業界について

一般社団法人日本印刷産業連合会の調べによると、1980年代後半から1990年代後半にかけて全盛期を迎え、その後は出荷額、従業員数、事業所数それぞれ右肩下がりで推移をしています。加速している印刷物のデジタル化に伴い、紙印刷物の需要の低下が予想できるため、より市場は縮小すると考えられます。印刷業界のほとんどの会社は中小企業で構成されており、いずれは大きな業界再編が発生することが見込まれています。業界の先行きの不透明さから、シナジーのある近隣業種への進出も考えなければなりませんが、中小企業のリソースでどこまで対応できるか難しいという課題があります。また、経営層の高齢化で、より業界の淘汰が激しくなるという点も大きな課題です。顧客が被る業界とのM&Aによりワンストップサービスの提供ができる体制を築いたり、純粋に同業との提携でポジショニングを撮りに行く等、工夫した経営戦略が求められる業界と言えるでしょう。

印刷業界の動向・課題

デジタル化による紙印刷物の需要減に伴い、年々市場規模は縮小傾向にある

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出典: 年次動向 / 一般社団法人日本印刷産業連合会

一般社団法人日本印刷産業連合会の調べによると、1980年代後半から1990年代後半にかけて全盛期を迎え、その後は出荷額、従業員数、事業所数それぞれ右肩下がりで推移をしています。加速している印刷物のデジタル化に伴い、紙印刷物の需要の低下が予想できるため、より市場は縮小すると考えられます。

97.3%が中小企業で構成されている

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出典: 印刷業会Annually Report Vol.2 2023年/ 一般社団法人日本印刷産業連合会

印刷業界のほとんどの会社は中小企業で構成されており、いずれは大きな業界再編が発生することが見込まれています。業界の先行きの不透明さから、シナジーのある近隣業種への進出も考えなければなりませんが、中小企業のリソースでどこまで対応できるか難しいという課題があります。また、経営層の高齢化で、より業界の淘汰が激しくなるという点も大きな課題です。

競合の台頭による収益構造の悪化

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出典: 2022年 日本の広告費/株式会社電通

上記の通りこれまで紙媒体(チラシ、フリーペーパー、新聞、雑誌)に出稿されていた広告が、年々インターネット広告にシフトしており、紙媒体の広告市場の縮小に拍車をかけています。株式会社電通の調査によると、インターネット広告費は年々増加傾向にある一方で、紙媒体の広告費は軒並み減少傾向にあることが読み取れます。

印刷物の中でも特殊な印刷技術を有している企業等はポジショニングが確立されておりリスクが少ない

印刷業界において、特殊な印刷技術を有する企業は、その独自性からポジショニングが確立されており、比較的リスクが少ないと言えます。例えば、高品質な特殊印刷技術を提供する企業は、他社との差別化を図りながら、高い品質や専門性によって信頼性を築いています。このような企業は特定の需要に特化しているため、市場での安定性があり、需要の変動に対しても比較的強固な立場を持っています。特殊な印刷技術を持つ企業は、市場競争において優位性を保ちながら、持続可能な事業展開を実現しています。

印刷業界のM&Aで期待できるメリット

事業の譲渡・売却・承継したい企業のメリット

後継者、人材の確保、事業存続

事業者の大半が中小企業である、かつ先行きが不透明な業界であるため、人材採用の難易度が非常に高い業界の一つであると言えます。また業歴の長い企業も多く経営層の高齢化が加速していることから事業の存続が危ぶまれる企業も少なくないでしょう。その点をM&Aでカバーすることができます。

安定的な取引先の確保

市場のパイが限定的になる中で、早いうちに中長期的に安定的な顧客基盤を確保しておくことは重要です。例えば、既存の大手のグループ会社に参画すれば、既存取引先以外の顧客基盤も手に入れることができるだけでなく、取引先との関係性も強固にすることができます。いずれ業界再編が進むにつれて、業界内での安定的な地位を確立できるかどうかが生き残りの鍵になると考えられます。

豊富な印刷技術と生産能力の取得

印刷業界は技術や生産力が重要な要素です。既存の印刷事業を譲受・買収することで、その企業が保有する豊富な印刷技術や生産能力を取得できます。これにより、新規事業者が独自の技術や大規模な生産ラインを構築する手間や時間を削減し、市場に早期に参入できます。

事業の譲受・買収したい企業のメリット

サービスのワンストップ提供

これまで自社が取り組んでいなかった領域の印刷事業に拡大することで、顧客に対してワンストップでサービス提供できるようになり、結果的に収益の拡大、仕入れコスト削減等のメリットが享受できるようになります。当業界では株式会社日本創発グループが非常に多くのM&Aに取り組んでおり、このメリットを享受、体現しています。

周辺業界への進出

印刷業としての幅を広げるのではなく、親和性のある業界への進出にもM&Aは効果的です。例えば、紙媒体の広告を扱っているのであればデジタル広告に強い企業と組むことで、顧客への提案の幅が拡張すると同時に、事業ポートフォリオの分散が実現できます。他にもwebコンテンツ制作、イベント企画など印刷業との親和性の高い周辺業種に取り組む企業が増えています。

多様な印刷技術と市場ニーズへの適応力の強化

既存の印刷事業を譲受・買収することで、多様な印刷技術やプロセスを取得できます。これにより、企業は様々な印刷需要に柔軟に対応でき、市場の変動に強い適応力を発揮できます。新しい技術や需要が出現した際にも、譲渡・買収先のノウハウを取り入れることで迅速に対応できるでしょう。