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管工事業界について

管工事はほとんどの工事に欠かせない存在であることから、その需要が衰えにくい特徴があり、市場規模は拡大傾向にあります。一方で若い人材を集めることが非常に難しく、管工事業界の高齢化は深刻化しています。最近は外国人の研修生を受け入れる企業もかなり増えていますが、彼らに対する教育コストも非常に大きな負担となっているケースが多いです。また材料費の高騰、多重下請け構造による薄利多売の傾向等、業界全体の課題は山積みとなっています。市場自体は伸びているからこそ、M&Aによる業容拡大と上流への進出が有効であり、今後市場で勝ち残る企業には必須の経営戦略と言えるでしょう。

管工事業界の動向・課題

ほとんどの工事に欠かせない種類の工事であり、受注高の伸びが顕著

国土交通省が発表している【設備工事業に係る受注高調査結果(各工事主要20社)】によると、市場規模は拡大傾向にあることがわかります。管工事はほとんどの工事に欠かせない存在であることから、その需要が衰えにくい特徴があります。

若手人材が少なく、ベテラン人材の高齢化が進んでおり、慢性的な人材難である

若い人材を集めることが非常に難しく、管工事業界の人手不足は深刻化しています。最近は外国人の研修生を受け入れる企業もかなり増えていますが、彼らに対する教育コストも非常に大きな負担となっているケースが多いです。

また、業界を支える層の高齢化が加速しており、純粋な人出はもちろん、資格や経験を持ったベテランの職人の数が減少しています。彼らの引退がより一層加速すれば、業務そのものが成り立たなくなる会社も珍しくない状況になります。

外国人労働者の採用・教育コスト、材料費の高騰、多重下請け構造等により、利益が圧迫されているケースが多い

経済情勢や国際問題の影響でインフレが進む中、材料費の高騰は死活問題と言って差し支えないです。材料が支給されない場合、多重下請け構造ゆえの少ない取り分の中から材料費をやりくりしなければならず、より利益を圧迫します。やむをえず収支が赤字の工事を行なっている会社も珍しくありません。

中小事業者が非常に多く、双方の業容拡大を狙ったM&Aが増加している

管工事業界では、中小事業者が数多く存在し、これらの企業がお互いに連携し業容を拡大するためのM&Aが増加しています。これにはいくつかの重要な理由があります。

  1. 市場での競争力向上: 中小事業者同士がM&Aを進めることで、統合された企業は単体の企業よりも大規模かつ多様なサービスを提供できるようになります。これにより、クライアントに対して包括的で効率的なソリューションを提供することができ、市場での競争力が向上します。
  2. リソースと技術の統合: 管工事業界では、特定のプロジェクトに必要な特殊な技術やリソースが求められます。M&Aにより、異なる強みを持つ企業同士が統合され、技術やリソースの統合が実現されます。これにより、大規模で複雑なプロジェクトにも柔軟かつ効果的に対応できるようになります。
  3. 効率的な経営体制の構築: 各企業が独自に経営を行う中で発生する冗長な機能や管理部門を統合することで、合併後の企業は効率的かつ効果的な経営体制を構築することが可能です。これにより、経費の削減やスムーズな意思決定が可能となります。

このようなM&Aの動きは、管工事業界全体の健全な発展と、中小事業者が市場変化に対応しやすくなるという利点をもたらしています。

管工事業界のM&Aで期待できるメリット

事業の譲渡・売却・承継したい企業のメリット

取引先の分散

譲受企業の既存取引先をはじめとして、営業協力をすることで取引先の拡大が容易になります。取引先の分散を行うことで、受注の安定化を図ることができます。

人材交流、採用強化

多くの場合、譲受企業から経営層人材が派遣されてきたり、工事の協力で人材の交流が行われます。従業員のモチベーション向上、人材の教育観点で良い影響が見込まれます。また、規模の大きい企業と組んだ場合、譲受企業を通じた人材採用効果の向上も期待ができます。

仕入れ先の統合によるコスト削減

材料の仕入れに際して、譲受企業と仕入れ先を統合していくことによって、より安価で材料を仕入れることができ、減価を下げることができるようになります。

事業の譲受・買収したい企業のメリット

商圏の拡大

自社単体では進出できていなかったエリアに進出する足がかりとなります。また、その土地に詳しい譲渡企業を通じて進出することで、新しい商圏でも馴染みやすいメリットがあります。

事業領域の拡大

自社が管工事業界の近隣異業種であれば、ノウハウがなくとも譲渡企業を通じて、比較的容易に異業種に参入することが可能です。また取引先からこれまで自社単体では受けられなかった仕事が受けられるようになり、クロスセルの効果も見込まれます。

人材獲得、人材教育

人材採用が非常に難しい昨今、M&Aで企業を譲り受けることで、すでに経験豊富な資格を有する人材を実質的に採用することが可能です。グループ間交流を通じて、人材育成の効果も期待できます。