電気工事業のM&A

多くの建設業の例に漏れず、電気工事業も多重下請け構造の影響を受けている業界です。業界各社に利益率を改善するような動きが求められています。具体的には、ゼネコンに一括発注されるような新築工事ではなく、直接受注が取りやすいリニューアル工事や比較的小規模の工事を受注したり、近隣業種への拡大による事業多角化でより上流から工事を受注しやすくする体制を整えたりする動きが見られます。

現役世代の高齢化は加速の一途を辿っており、中小企業では引退後も嘱託や再雇用で人材をなんとか確保しているケースも珍しくありません。業界の需要と人材の供給が反比例しており、大きな社会問題となっています。

他の工事業と共通する課題として、人材不足は外せません。きついというイメージの悪さや職業の選択肢の多様化から、若い世代を採用するのが困難になりつつあります。仮に採用ができたとしても、人材の教育コストが低いわけではなく、より高度で大規模な工事を行うためには資格の取得もしていかなければなりません。

電気工事業界はその性質上、建設投資の多寡にその需要が大きく左右されます。昨今のコロナウイルスの影響で2020~2021年は受注高が減少傾向になっていましたが、アフターコロナに向けて回復傾向にあります。今後、多くの再開発事業に伴うインフラ整備のため、安定した需要が見込まれる業界です。